はじめに
心不全が進行すると、仕事や日常生活に大きな制限が出ることがあります。
そのようなときに生活を支えてくれるのが「障害年金」です。
👉 障害年金は「老後に受け取る年金」とは異なり、現役世代でも条件を満たせば受け取れる公的制度です。
「高齢者だけの制度」と誤解されやすいため、本記事で正しく理解していきましょう。
障害年金を受け取れる人
障害年金は年齢に関係なく、次の条件を満たす方が対象になります。
- 初診日に年金制度に加入していること
国民年金または厚生年金に加入していることが必要です。
20歳以上であれば、学生や会社員も対象になります。 - 保険料を一定期間納めていること
初診日の前々月までの直近1年間に未納がないこと、
または加入期間の3分の2以上が納付済みであることが条件です。 - 障害認定日に一定以上の症状があること
初診日から1年6か月後が原則の「障害認定日」。
その時点で基準を満たせば請求できます。
👉 「年金」という名称のため高齢者向けと誤解されがちですが、実際には20代・30代でも受給しているケースがあります。
認定基準(心機能・日常生活制限)
心不全で障害年金が認定されるかどうかは、心機能の状態と日常生活への影響で判断されます。
- NYHA分類Ⅲ度〜Ⅳ度
NYHA分類は心不全の重症度をⅠ〜Ⅳで表す国際的基準です。
Ⅲ度では軽い動作で症状が出て、Ⅳ度では安静時にも症状が現れます。 - 日常生活や労働の制限
診断書に「階段昇降が困難」「家事ができない」「就労がほぼ不可能」と記載される場合、認定されやすい傾向があります。
👉 実際の認定は「心機能の数値」だけでなく「生活での困難さ」も大きく考慮されます。
支給額の目安(障害基礎年金・障害厚生年金)
障害基礎年金(国民年金加入者が対象)
- 対象:自営業・フリーランス・学生・専業主婦など
- 支給:1級または2級が認定された場合に支給
- 金額(令和6年度基準)
1級:約97万円/年
2級:約78万円/年 - 子の加算:18歳未満の子どもがいる場合は加算あり
障害厚生年金(厚生年金加入者が対象)
- 対象:会社員・公務員
- 支給:障害基礎年金に上乗せして支給
- 特徴:1〜3級まであり、3級は基礎年金なしで「厚生年金のみ」
- 金額:加入期間や給与額に応じて変動(報酬比例部分)
例)40歳・年収500万円・加入20年 → 約120〜150万円/年(目安)
👉 若い世代でも「働けないときに生活を守る仕組み」として活用できます。
実際の申請ステップと注意点
ステップ
- 年金事務所または市区町村窓口に相談
- 必要書類(診断書・病歴就労状況等申立書など)を準備
- 障害認定日に合わせて申請
注意点
- 診断書に生活での困難さが十分に記載されていないと、不支給になることがあります。
- 実際に「症状が軽く書かれてしまった」と感じる患者さんもいます。
- 不安な場合は、社会保険労務士(年金の専門家)に相談するのも有効です。
👉 ご家族と一緒に準備し、診断書には生活上の困難さをしっかり反映してもらいましょう。
まとめ|心不全と障害年金は年齢を問わず生活の支えになる
障害年金は「老後の年金」とは異なり、心不全で日常生活や仕事が制限されるときに、年齢を問わず受け取れる制度です。
👉 「自分も対象になるのか?」と思ったら、まずは年金事務所で相談してみましょう。
👉 ご家族と一緒に情報を整理し、安心して生活を続ける準備を進めてください。
参考
- 日本年金機構「障害年金制度」
- 厚生労働省「障害認定基準」


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