■ 「このままでいいのかな」と悩んでいる理学療法士へ
この記事を読んでいるあなたは、
おそらく次のような気持ちを抱えているのではないでしょうか。
- 今の職場を続けるべきか、迷っている
- 給料や働き方に、はっきり言葉にできない違和感がある
- 結婚・育児と仕事が両立できるのか不安
- 転職には興味があるが、失敗するのが怖い
- 地方での働き方に、行き詰まりを感じている
これらは、地方で働く多くの理学療法士が一度は直面する悩みです。
そして私自身も、同じような迷いを経験してきました。
資格職である以上、
「いざとなれば転職できるだろう」
そう考えている人は少なくありません。
しかし実際には、
あるタイミングを境に、その前提が揺らぐ瞬間が訪れます。
多くの場合、それは
結婚や家庭、生活環境の変化です。
⚠️ この記事について
この記事は、
「今すぐ転職すべきかどうか」を決めるためのものではありません。
地方で働く理学療法士が、
なぜ転職に悩みやすいのか。
なぜライフイベントをきっかけに迷いが深くなるのか。
その背景にある構造を整理し、
自分なりの判断をするための材料を提供することを目的としています。
記事内では、
私自身の経験も含めながら、
特定の個人に依らない“よくあるケース”として話を進めます。
■ なぜ地方の理学療法士は、転職で悩みやすいのか?
まず、重要な前提を共有します。
🔵 地方で病院に転職できるかどうかは、
能力よりも「枠(募集の有無)×タイミング×地域事情」に左右されやすい
👉 だからこそ、先に情報を集めて“狙い目”を見つけることが大切です。
これは個人の努力不足ではなく、
市場構造の問題です。
理由は次の通りです。
- 病院そのものの数が少ない
- 理学療法士が固定化され、欠員が出にくい
- 求人の多くが在宅・施設領域に偏っている
- 病院側が紹介料を理由にエージェント経由を避けることがある
- 専門資格があっても、採用枠が増えるとは限らない
この構造を知らずに転職活動を始めると、
「自分の何が足りないのだろう」
「努力が足りないのかもしれない」
と、必要以上に自分を責めてしまう人が少なくありません。
しかし、それはあなたの能力の問題ではありません。
■ 1章:地方でPTが転職に苦戦しやすい5つの構造問題
① 総合病院の数が圧倒的に少ない
地方では、都市部と比べて選択肢そのものが限られます。
② 理学療法士が固定化され、枠が空きにくい
欠員が出ないため、公募すら出ない地域もあります。
③ 求人の大半が在宅・施設領域に集中する
病院求人は希少で、選択肢になりにくいのが現実です。
④ 病院側がエージェント経由を敬遠するケース
紹介料が経営上の負担になるためです。
⑤ 専門資格があっても採用枠は増えない
循環器・呼吸器などの専門資格があっても、
『枠がなければ採用できない』という判断は珍しくありません。
この構造を知らないまま動くと、
転職活動そのものが大きな精神的負担になります。
■ 2章:ライフイベントが、働き方の前提を変える
地方で働く理学療法士が転職を意識するきっかけは、
キャリアアップよりも生活の変化であることが多いです。
- 結婚
- 家庭の事情
- 通勤距離
- 生活リズム
「多少の長距離通勤なら何とかなる」
そう考えて始めた働き方が、
徐々に心身の余裕を削っていくケースは少なくありません。
- 朝が早く、帰宅が遅い
- 家にいる時間が極端に短い
- 休日は回復に使われてしまう
その結果、
家族を大切にしたいのに、
それが難しい働き方になっている
という違和感が生まれます。
これは感情の問題ではなく、
働き方の構造と生活条件が合っていないサインです。
■ 3章:専門性があっても転職が成立しない理由
臨床経験を積み、
専門領域で評価される資格を取得していても、
地方では
「活かせる枠が存在しない」
というケースが珍しくありません。
求人サイトを見ても病院求人がほとんど出てこない。
直接問い合わせても「現状は充足している」と返される。
これは個人の問題ではなく、
市場側の受け皿の問題です。
■ 4章:転職エージェントの光と影
忙しい時期や、
一人で抱え込みやすい状況では、
転職エージェントが大きな支えになることがあります。
- 求人情報の整理
- 病院との調整
- 応募書類や面接のサポート
- 精神的な孤立の回避
一方で、
- 担当者が変わりやすい
- 紹介料を理由に敬遠される
といった構造的なデメリットもあります。
大切なのは、
「使うかどうか」ではなく、
どの段階で、何のために使うかです。
■ 5章:地方PTが最終的に直面しやすい2つの選択肢
構造を踏まえると、
地方で転職を考える理学療法士の多くは、
最終的に次の2つの選択肢に行き着きます。
選択肢① 在宅医療(訪問看護・訪問リハ)
- 求人数が比較的多い
- 地域ニーズが高い
- 経験を活かしやすい
一方で、
働き方の裁量や生活への影響は事業所ごとに差があります。
選択肢② 病院勤務(専門分野を限定しない)
- 勤務体系が比較的安定
- 生活リズムを整えやすい
ただし、
専門分野を継続できるとは限りません。
どちらが正解かではなく、
生活条件と価値観にどちらが合うかが判断軸になります。
私自身の経験でも、最終的には
「専門性の継続」より「生活への負担」を優先する判断になりました。
※ただし、これは価値観によって変わるため、一例として捉えてください。
■ 6章:転職に悩む医療職に伝えたいこと
- 転職は勢いではなく、準備で成否が決まる
- 資格は武器だが、枠がなければ成立しない
- キャリアよりも、生活と時間の持続性が重要
- 正解は肩書きではなく、価値観にある
■ 「どう動いていいかわからない」人へ
まず必要なのは、
選択肢を知ることです。
- 病院転職の現実的な可能性
- 自分の強みが活かせる分野
- 無理のない働き方
これらを可視化するだけでも、
迷いは大きく減ります。
■ 「今は転職しない」と判断した人へ
構造を理解したうえで
「今は動かない」と選べているなら、
それも立派な判断です。
転職はゴールではありません。
自分と家族の人生を、
自分で選べているかどうか。
それが、このブログが最も大切にしている視点です。
■ まとめ:転職はキャリアの問題ではなく、人生の判断
医療職の転職は、
職場を変えること以上に、
- 家庭
- 生活
- 将来
- 価値観
と深く結びついています。
焦らず、立ち止まり、
必要なら選び直していい。
その判断材料を、
これからも提供していきます。
■ 次に読むべき記事
👉 医療職が転職でつまずく理由5つ
👉 PTが転職エージェントを使うメリット・デメリット
👉 心リハ指導士・呼吸療法認定士をキャリアにどう活かす?
※「次に読むべき記事」は随時更新していきますので、少々お待ちください。

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