心臓リハビリテーション指導士を取ろうか悩んでいる方へ。
- 「資格を取って本当に役に立つの?」
- 「臨床で何が変わるの?」
- 「勉強のメリットはある?」
僕も同じように悩んでいた一人でした。
この記事では、
僕が取得を決意した“理由”と、資格取得後に起きた“変化” を、
臨床経験を踏まえてお話しします。
■ 資格取得を決意した理由
―心不全患者さんとの出会いがすべての始まり
臨床に出て間もない頃、担当した心不全患者さんのことを今でも忘れられません。
呼吸苦、チアノーゼ、不安定なバイタル。
「どこまで動かしていいのか」「何が危険なのか」
当時の僕には判断する力がなく、恐怖を感じながらリハビリをしていました。
ほどなくして、その患者さんは急性増悪で亡くなりました。
その時、強く感じたのは
「もっとできたことがあったのでは?」という後悔
そして
「このままでは、同じ状況に直面したときに守れない」
という危機感でした。
この経験が、
“循環器を学び直す”きっかけになりました。
その中で出会ったのが
心臓リハビリテーション指導士 という資格でした。
■ 資格取得の過程で得た学び
― 「根拠に基づいて判断する」力が身についた
資格取得の過程では、循環器領域の幅広い知識を体系的に学びます。
- 心不全・虚血性心疾患の病態
- 心電図の読み方
- 臨床検査(BNP、心エコー、CPX)
- 薬物療法
- 運動処方と中止基準
- 生活指導
- 多職種連携
特に衝撃だったのは、
「心不全患者では寝ているより座っているほうが楽なことがある」
という、体位変換の重要性。
以前の僕は
「呼吸苦があるのに動かしていいのか?」
と不安だったのですが、
- 体位が血行動態にどう影響するか
- 体液貯留によって何が起きているか
これらを理解したことで、
“理由を持って離床を促す” ことができるようになりました。
■ 資格取得後、臨床でどう変わったか
― 漠然とした不安が“明確な判断”に置き換わった
資格取得前と後で最も変わったのは、
判断の軸ができたこと でした。
▼ 資格取得前
- なんとなく不安
- 動かしていいのか自信がない
- 急変リスクが怖い
- 医師と話すときに専門用語が分からない
▼ 資格取得後
- 「どこまでリハビリできるか」が明確になった
- 観察すべき項目が整理された
- リスクを理解した上で“攻めのリハビリ”ができる
- 医師・看護師と同じ言語で話せるようになった
現場での安心感が全く違います。
■ 資格を取っても変わらなかったこと
― 金銭的なメリットは小さい(だから価値がある)
正直に言うと、僕の場合は…
- 資格取得費用は完全に自己負担
- 資格を取っても診療加算がない
- 給料に直接反映されない
という金銭的なデメリットもありました。
しかし、
知識は大きな財産 です。
医療者にとって知識は“道具”であり、
持っているかどうかで患者に提供できる医療の質が変わります。
僕は振り返って、
「取って良かった」と心から思っています。
■ 資格は“ゴール”ではなく“スタート”
心臓リハビリテーション指導士を取得すると、
リハビリの根拠がはっきりし、
チーム医療の中での発言力も変わります。
しかし同時に、
資格を取っただけでは何も変わらない
という現実もあります。
- 心不全患者を動かす怖さを減らす
- リスク管理の基準を持つ
- チームでの連携を深める
- 患者の予後を守る
こうした“臨床での実践”がセットであってこそ、
資格は本当の価値を持つと実感しています。
■ これから資格を目指す人へ
もしあなたが…
- 心不全患者さんと接することが多い
- 判断に迷うことがある
- 循環器領域に苦手意識がある
- チーム医療の中で専門性を高めたい
このどれか一つでも当てはまるなら、
心臓リハビリテーション指導士は間違いなく価値のある資格です。
資格はゴールではなく、
患者さんを守るための“武器”であり“道具”です。
僕はこれからも学び続けながら、
この資格を活かして患者さんに安心を届けられるよう努めていきたいと思います。
■ まとめ
- 心臓リハビリテーション指導士は“臨床で役立つ実践資格”
- 資格を取ることで判断力・説明力・連携が格段に変わる
- 金銭的メリットよりも「臨床能力の向上」が最大のリターン
- 資格はスタート地点。臨床で活かすことで価値が生まれる


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