はじめに
心不全を予防するには、薬だけでなく、毎日の食事習慣の見直しが欠かせません。
特に「減塩」と「栄養バランスの改善」は、心臓を守るための大切な柱です。
結論から言えば、
- 塩分を減らすこと
- たんぱく質・野菜・良質な脂質を意識すること
この2つを組み合わせることが、心不全を防ぐ最も確実な一歩になります。
この記事では、心不全と食事の関係、減塩の工夫、栄養バランスの整え方を、根拠と臨床経験を交えて解説します。
心不全と食事の関係|なぜ減塩と栄養バランスが大切か
塩分をとりすぎると、体に水分がたまり、血圧が上がります。結果として心臓に大きな負担がかかります。
実際、日本循環器学会のガイドラインでは 「1日6g未満の塩分制限」 が推奨されています。これは食塩小さじ1杯に相当します。
さらに、高血圧・糖尿病・脂質異常症を同時に持っている方は、心不全のリスクが大幅に高まります。
臨床でも、生活習慣病が複数ある方は再入院が多いと実感しています。
👉 だからこそ、「減塩」と「栄養バランス」を同時に整えることが重要です。
心不全予防の食事|減塩の実践法
減塩の目安
- 1日6g未満
- 日本人の平均摂取量は約10gで、意識しなければ超えてしまいます
減塩の工夫
- 味噌汁は具を多めにして汁を少なめに
- 漬物・カップ麺・ハムなどの加工食品は控える
- 酢・レモン・香辛料で味に変化をつける
臨床でも「減塩を意識しただけでむくみや息切れが軽くなった」という方を多く見てきました。
ご家族と一緒に「減塩レシピ」を工夫すると、無理なく続けられます。
栄養バランスの正しい整え方
たんぱく質
- 魚・大豆・鶏肉などを中心に
- 筋力が保たれることで、再入院リスクが減る傾向があります
野菜・果物
- カリウムや食物繊維が、余分な塩分の排出を助け血圧を安定させます
- 腎機能が低下している方は、摂りすぎが危険になる場合もあるので主治医に相談を
脂質
- 肉やバターに多い「飽和脂肪酸」は控える
- 青魚やオリーブ油に多い「不飽和脂肪酸」を意識する
糖質
- ご飯やパンなどの食べすぎは血糖を急上昇させます
- 腹八分目・ゆっくり噛むことがコントロールのコツです
ご家族全員で「主食・主菜・副菜をそろえる食卓」を意識しましょう。
外食やコンビニでもできる工夫
- ラーメンの汁は残す
- 定食は「ご飯少なめ+野菜多め」で注文
- コンビニでは「おにぎり+サラダチキン+野菜スープ」がバランス良好
外来でも、外食が多い方でも「選び方」を工夫するだけで検査数値が改善したケースを多く見てきました。
心不全予防の食事チェックリスト
- 1日6g未満の減塩を意識しているか
- 主食・主菜・副菜をそろえているか
- 週2回以上は青魚を食べているか
- 外食・加工食品を控えているか
- 体重・血圧・血液検査(コレステロールや血糖など)を記録しているか
ご家族で一緒にチェックすると、習慣化しやすいです。
まとめ
心不全を防ぐ食事の基本は 「減塩」と「栄養バランス」 です。
- 減塩は1日6g未満(小さじ1杯分)
- たんぱく質・野菜・良質な脂質を意識する
- 外食やコンビニでも工夫できる
ご家族と一緒に「今日からできる一歩」を始めましょう。
未来の心臓を守る習慣は、毎日の食卓から生まれます。
参考文献
- 日本循環器学会・日本心不全学会.心不全治療ガイドライン(2025年改訂版).2025.
- 厚生労働省.e-ヘルスネット「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp
- WHO. Global recommendations on physical activity for health. Geneva: WHO; 2010.
- Emerging Risk Factors Collaboration. Lancet. 2010.


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