心不全の再発予防には、適切な運動習慣が重要とされています。
しかし「どんな運動をすればいいのか?」「どれくらいの運動なら安全か?」というお話も医療現場では、患者やそのご家族からよく質問されます。
この記事では、心不全を患っていても安心して自宅で取り組める運動やその運動の強さ、頻度、運動前の体調管理、運動中のセルフチェックの目安などをまとめて解説します。
この記事では…
・自宅で運動をするならどんな運動がいいのか?
・運動するならどのぐらいの強さや頻度ですればいいのか?
・運動をしすぎて体に負担がかかり過ぎていないかどうか?
に詳しく解説しています。
▶︎日本循環器学会 / 日本心不全学会合同 2025 年改訂版 心不全診療ガイドラインに
基づいて、理学療法士『ゆうゆう』が監修しています。
⚠️ 医療情報に関する注意
本サイトは医療情報の整理と解説を目的としており、特定の治療や医療行為を推奨するものではありません。症状や治療についての最終的な判断は、必ず主治医や医療機関にご相談ください。
💡 結論!!
心不全の方の運動強度はこの3つで判断できます
① 運動中に会話ができるか
② 息切れが強くないか
③ STOPラインに当てはまらないか
実際のリハビリでも、この会話ができるかは重要な指標として使われています。
心不全でも運動をしていい人、ダメな人
運動をする上で大前提があります。
それは「心不全が安全にコントロールされている」ことです。
心不全が安定していない状態での運動は、悪化のリスクがあるため注意が必要です。
自己判断はせずに必ず主治医や医療機関にご相談ください。
また自宅でできる心不全のセルフモニタリングについて気になる方は、
こちらの記事で解説しています。

✅ 再入院予防には、心不全悪化の
サインを早期に発見することが
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こちらの記事は再入院に不安がある方に
オススメです!
心不全患者にオススメな運動
有酸素運動(ウォーキングや軽めの自転車)と筋トレがガイドラインで推奨されています。
- 有酸素運動:会話が続けられるペース(Borgスケール11〜13程度) ※Borgスケールとは自覚的に運動の強さを測る指標であり、11〜13は「ややきつい」程度。
- 筋トレ:10〜15回無理なく繰り返せる程度
この運動強度で週2〜3回程度から始めていくことが安全で効果的とされています。
安全な運動強度について
有酸素運動の強度計算
まずは運動を行う前にご自分に合った運動の強さを確認しましょう。
有酸素運動では、脈拍数がひとつの指標です。
具体的には(220−年齢)×40〜60%の計算式で
運動に適した心拍数を求めていきます。
⚠️ この計算先はあくまでも目安です!
内服されている薬(β遮断薬などの心拍数を抑える薬など)によっては、
40〜60%に該当しない場合もあるため、
最終的な判断は、必ず主治医や医療機関にご相談ください。
初めての方や心不全の既往がある方は40%程度から始め、
慣れてきたら少しずつ60%に近づけましょう。
目安としては、40%:軽強度、60%:中強度の運動強度になります。
👉 例えば60歳男性で軽強度の運動をするとした場合
(220-60歳)✖️40%
=180✖️40%
=72回/分
となり、この心拍数を超えない範囲で運動すれば、
安全性が高いと考えられています。
※わかりにくい場合は“普段より明らかに高い”と感じた時点で中止してください。
最適な運動強度を確認しましょう!
次のチェックで、ご自身に合った運動強度を確認してみましょう。
□ 週2回以上の運動習慣がある
□ 健康診断で大きな異常なし
□ 心不全の既往がなく、体力に自信がある
👉 2つ以上当てはまる → 中等度(60%寄り)
□ 運動習慣がほとんどない
□ 高血圧や糖尿病で治療中
□ 心不全の診断を受けている/再発予防中
□ 70歳以上で体力に不安がある
👉 ひとつでも当てはまる → 低強度(40%程度)
運動のSTOPラインと危険サイン
運動前の血圧・脈拍数のSTOPライン、危険サイン
- 安静時の血圧が160/100mmHg以上 → 強度を落として軽めの運動に控えてください
- 安静時の血圧が180/110mmHg以上 → 運動は中止して休養をとってください
- 安静時の脈拍が40回/分以下または120回/分以上 → 運動は控えて医師に相談をしてください
可能な限り毎日同じ条件(時間帯など)で測定した血圧・脈拍をメモしてください。
体調の“普段”を見える化すると判断が安定します。
自覚症状のSTOPライン、危険サイン
- 安静時に息切れ、動悸、胸の痛み
- 強い頭痛、めまい、吐き気、冷や汗、発熱(38℃以上)
- 普段と違う強い疲労感
👉 ひとつでも当てはまれば運動は控えてください。
運動中のSTOPライン、危険サイン
- 安静時の血圧よりも収縮期血圧が40mmHgの上昇または
拡張期血圧の20mmHg以上の上昇がある場合 - 脈拍数に関しては内服している薬にもよるため一概には言えませんが、
「主治医から指示された目標心拍数を超えた場合」
または「通常より明らかに速いと感じる場合」は中止してください - パルスオキシメーターでSpO₂(酸素飽和度)が94%以下
👉 これらが出たらすぐに運動を中止し安静に過ごし、
必要に応じて主治医に相談してください。
※わかりにくい場合は“普段より明らかに高い”と感じた時点で中止してください。
オススメの有酸素運動プラン
- 種類:ウォーキング、自転車、エアロバイク
- 時間:1回20〜30分/日。週2〜3回から始め、可能なら週5回へ
- 強度:会話できるペース(最高心拍数の40〜60%)
- 工夫:「10分×3回」に分けても効果あり
この強度はあくまでも目安です。最初は10分の散歩から始めても大丈夫です。
オススメの筋トレ(レジスタンス運動)プラン
- 回数と負荷:10〜15回できて「少しきつい」と感じる程度 ※専門的には最大挙上重量(1RM)の30〜50%に相当します。
これは「15回で限界に近く、少しきついと感じる負荷」を目安にしてください - 運動内容:椅子からの立ち座り、軽いスクワット、ゴムバンド運動
- 頻度:週2〜3回
- ポイント:呼吸を止めない/反動を使わない
入院前から筋トレをしていた方は、退院後の回復が早いと実感しています。
ご家族と一緒にできる簡単な運動から始めましょう。
まとめ
- 有酸素運動では「会話が続けられるペース」
- 筋トレは「10〜15回できる負荷」
- 運動前はチェックリストで強度を判定
- 運動中は脈拍・症状・STOPラインを確認
無理のない強度で、ご家族と一緒に楽しく続けることが、心不全の再発予防に有効とされています。
最後に覚えておきたいのは、「会話しながら続けられるかどうか」。これが安全の目安のひとつです。
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参考文献
- 日本循環器学会・日本心不全学会.心不全治療ガイドライン(2025年改訂版).2025.
- 厚生労働省.e-ヘルスネット「身体活動・運動」.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp
- WHO. Global recommendations on physical activity for health. Geneva: WHO; 2010.
- Piepoli MF, et al. Exercise training in heart failure: from theory to practice. Eur J Heart Fail. 2011;13(4):347–357.


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