心不全を防ぐストレス対策|呼吸法・運動・生活リズムの整え方【理学療法士が解説】

心不全予防シリーズ
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はじめに

心不全を防ぐには、薬や食事だけでは十分ではありません。
「ストレス対策」も心臓を守るために欠かせない要素です。

結論から言えば、呼吸法・軽い運動・生活リズムを整えることが、心不全を防ぐ大切な一歩です。


心不全とストレスの関係|なぜ心臓に負担をかけるのか

強いストレスを感じると、自律神経(体の働きを自動で調整する神経)のバランスが乱れます。
特に交感神経(体を活動モードにする神経)が過剰に働くと、血圧や心拍数が上がり、心臓に余計な負担をかけます。

国際的な研究でも「慢性的なストレスを抱える人ほど、心血管疾患の発症率が高い」と報告されています。
臨床の場でも「仕事や家庭のストレスが強い患者さんは、息切れやむくみが悪化しやすい」と感じます。

だからこそ、日常の中でストレス対策を取り入れることが大切です。


呼吸法でストレスを和らげる|簡単にできる実践法

深い呼吸は、自律神経を整え、リラックスにつながります。

  • 回数:1日2〜3回程度(朝・昼・寝る前など)
  • 時間:1回につき3〜5分ほどを目安
  • 方法
    • 腹式呼吸:お腹をふくらませながらゆっくり吸い、細く長く吐く。              
    • 4-7-8呼吸法:4秒吸う → 7秒止める → 8秒かけて吐く。

研究でも「呼吸法が血圧を下げたり、リラックスを促す可能性がある」と報告されています。
実際、僕自身も眠れない夜に呼吸法を取り入れていますし、患者さんからも「寝つきが良くなった」といった声をいただきます。

無理に長時間行う必要はありません。テレビのCM中や寝る前に1日数分取り入れるだけでも十分です。ご家族と一緒に取り組むと習慣化しやすいですよ。


軽い運動でストレス発散|心不全に適した運動習慣

運動はストレス解消だけでなく、心臓や血管を守る効果もあります。

おすすめは「会話できるペース」の有酸素運動です。
ウォーキング、体操、椅子からの立ち座り運動など、無理なくできるものを選びましょう。

世界保健機関(WHO)は「週150分の中等度の運動」を推奨しています。
ただし、心不全の方は必ず主治医の指導のもとで、体調に応じて分割して行うことが大切です。

臨床でも、散歩や軽い筋トレを習慣にしている方は体調が安定し、再入院が少ない印象です。

ご家族と一緒に散歩をすると、気分転換にもなります。


生活リズムを整える|睡眠と日常の工夫

生活リズムの乱れはストレスを増やし、心臓に悪影響を与えます。

基本は「就寝・起床時間をそろえる」ことです。
夜更かしや不規則な生活は交感神経を刺激し、心臓への負担を増やします。

臨床でも「寝る前のスマホをやめただけで睡眠の質が改善した」という方を多く見てきました。
夕方の軽い散歩や、寝る前のリラックスタイムも効果的です。

ご家族で「夜9時以降はスマホを見ない」などルールを決めるのも良い方法です。


今日からできるストレス対策チェックリスト

  • 週150分の軽い運動を続けているか
  • 就寝・起床時間を一定にしているか
  • 睡眠不足や夜更かしが続いていないか
  • 趣味やリラックス法を持っているか

ご家族と一緒にチェックすると、継続しやすくなります。


まとめ

ストレスは、心不全を悪化させる大きなリスク因子です。
呼吸法・運動・生活リズムの3つを整えることが、心臓を守る第一歩になります。

毎日の小さな工夫が、未来の心臓を守ります。
今日からご家族と一緒に「ストレス対策の習慣」を始めてみませんか?


参考文献

  • 日本循環器学会・日本心不全学会.心不全治療ガイドライン(2025年改訂版).2025.
  • WHO. Stress and cardiovascular health fact sheet.
  • Steptoe A, et al. Stress and cardiovascular disease. Nat Rev Cardiol. 2012.

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