心不全予防のための睡眠習慣|質の良い眠りで心臓を守る方法【理学療法士が解説】

心不全予防シリーズ
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はじめに

心不全を防ぐには、薬や食事だけでなく「睡眠」も欠かせません。
質の良い眠りは、心臓を休めるために大切な時間です。

結論から言えば、7〜8時間の質の良い睡眠をとることが心不全予防の第一歩です。
この記事では、睡眠と心不全の関係、眠りの改善方法をデータと臨床経験をもとに解説します。


心不全と睡眠の関係|なぜ眠りが心臓を守るのか

睡眠不足になると、体を緊張させる「交感神経」が過剰に働きます。
その結果、安静にしていても体内では運動をしている状態に近くなるため、血圧や心拍数が上がり、心臓に余計な負担がかかります。

大規模研究でも「短い睡眠の人ほど心血管疾患のリスクが高い」と報告されています。
臨床でも、不眠や浅い眠りが続く方は、息切れやむくみが悪化し、再入院につながることを多く経験します。

だからこそ、睡眠習慣の改善が大切です。


心不全予防に必要な睡眠時間と質

理想の睡眠時間は 7〜8時間 です。
6時間未満や9時間以上では、心不全を含む心血管リスクが高まると報告されています。

また、「質」も重要です。
夜中に何度も目が覚めたり、朝起きても疲れが残る場合は要注意です。

ご家族が「いびきが大きい」「呼吸が止まっている」と気づくこともあります。
本人だけでなく、ご家族の観察も大切です。


睡眠の質を高める生活習慣

  • 就寝・起床時間を毎日そろえる
  • 寝る前のスマホやカフェインを控える
  • 夕方の軽い散歩などは快眠につながる

臨床経験でも、睡眠日誌をつけた方は改善しやすいと感じます。
ご家族と一緒に「寝る前の過ごし方」を工夫しましょう。


睡眠時無呼吸症候群と心不全の関係

「睡眠時無呼吸症候群」は、寝ている間に呼吸が止まり、体の酸素が不足する病気です。
そのたびに血圧が上がり、心臓にダメージを与えます。

中高年の男性や肥満の方に多く、強いいびきが特徴です。
放置すると、心不全や脳卒中のリスクが高まります。

CPAP(シーパップ)という「睡眠中に空気を送り込む装置」で治療すると、再入院が減ることも報告されています。

いびきや呼吸の止まりが疑われる場合は、早めに医療機関で相談しましょう。


ストレスと睡眠の悪循環

強いストレスは眠りを浅くし、血圧や心拍数を上げます。
一方で、睡眠不足もストレス耐性を下げ、悪循環に陥ります。

呼吸法、軽い運動、趣味など「リラックスできる習慣」を持つことが効果的です。
ご家族で一緒にリラックス法を見つけてみましょう。


今日からできる睡眠チェックリスト

  • 就寝・起床時間がバラバラになっていないか
  • 7時間前後の睡眠をとれているか
  • いびきや呼吸の乱れがないか
  • 日中に強い眠気が続いていないか

ご家族で一緒にチェックすると、改善のきっかけになります。


まとめ

睡眠不足や睡眠時無呼吸は、心臓に大きな負担をかけます。
7〜8時間の質の良い睡眠が、心不全予防の基本です。

生活習慣を整え、ストレスを減らし、必要に応じて医療機関に相談しましょう。
今日からご家族と一緒に「眠りの習慣」を見直してみませんか?


参考文献

  • 日本循環器学会・日本心不全学会.心不全治療ガイドライン(2025年改訂版).2025.
  • WHO. Sleep and health fact sheet.
  • Liu TZ et al. Sleep duration and cardiovascular risk. Eur Heart J. 2019.
  • Javaheri S, et al. Sleep apnea and heart failure. Circulation. 2017.

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