はじめに
最近「自律神経が乱れている気がする」「何となく体調が悪い」と感じる人が増えています。
しかし、医療現場にいるとよくあるのが、
- “自律神経”という言葉の意味が曖昧なまま使われている
- そもそも何が乱れるのか分からない
- どう改善すればよいのか分からない
という状態です。
この記事では、知識ゼロの人でも理解できるように、
- 自律神経とは?
- 乱れるとどんな症状が出るのか?
- 原因は?
- 今日からできる改善方法
まで、理学療法士の視点でわかりやすく解説します。
自律神経とは?
自律神経とは、「自分の意志とは関係なく、体の状態を自動で整える神経」のことです。
たとえば、
- 呼吸
- 心臓の動き
- 血圧
- 体温
- 胃腸の働き
これらは意識しなくても勝手に調節されます。
この自動調整の仕組みが「自律神経」です。
言い換えると、
体の“自動運転システム”のようなものです。
自律神経は2種類ある
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。 自動車で例えるとアクセルが交感神経、ブレーキが副交感神経になります。 この2つの神経が興奮・活動時や休息・リラックスしている時で適切に切り替わることで、人の体はその状況にあった体の状態へ自動で調整されます。
交感神経(アクセル)
主に興奮・活動時に働きます。
例:
- 運動している時
- 緊張している時
- 仕事中
- ストレスを感じた時
体に起きる反応:
- 脈が速くなる
- 呼吸が速くなる
- 血圧が上がる
副交感神経(ブレーキ)
休息・リラックス時に働きます。
例:
- 睡眠時
- 食事後
- お風呂に浸かっている時
体に起きる反応:
- 心拍がゆっくりになる
- 血圧が安定する
- 胃腸が活発に働く
自律神経が乱れると何が起こる?
自律神経の乱れを自動車で例えるなら、信号が赤になったのでブレーキを踏んでも、反対に加速してしまったら事故を起こしてしまいます。
これを体で言い換えると休息したいときに副交感神経へ切り替わらず、交感神経が働いているままだと人の体は横になっていても、運動をしている時と同じような状態になります。 この状態ではしっかり睡眠をとることが難しくなります。
また研究では、自律神経のバランスが崩れると心身に大きな影響が出ることが分かっています。
- 自律神経の働きが弱くなると心疾患の死亡率が上昇
(Heart Rhythm, 2019) - ストレスは自律神経の機能を低下させる
(Lancet Psychiatry, 2016)
主な症状
- 動悸・息切れ
- 頭痛・めまい
- 不眠
- 胃腸不調
- 倦怠感・集中力低下
- 冷えやほてり
自律神経の乱れによる症状は様々です。 症状があっても「なんとなく調子が良くないかな」程度に思ってしまうそうですよね。
「病気というほどではないけれど、放っておくと悪化しやすい状態」こそ、自律神経の乱れが疑われるサインです。
国内の疫学調査でも、自律神経失調を疑う症状を持つ人は約15〜20%とされています。
(藤澤ら, 2022, 日本自律神経学会)
自律神経が乱れる原因
代表的な原因は次の通りです。
- ストレス
- 運動不足
- 睡眠不足
- 生活リズムの乱れ
- 気候変動
- 不規則な食事
現代は便利な生活になった一方で、体や心へのストレスは強くなり、交感神経が過度に働きやすい状況が多くなっています。
つまり、心身が活動的になることが多くなります。 その結果、本来は休むべきときにも脳と体が興奮状態のままになり、疲労回復が追いつかなくなります。
今日からできる自律神経の整え方
ポイントは、生活の中でリラックスできる状態や環境を作り、副交感神経を働かせることです。
軽い運動(オススメは有酸素運動🏃♀️)
有酸素運動は自律神経を改善する効果が報告されています。
(European Journal of Preventive Cardiology, 2018)
例:
- 15分のウォーキング
- ラジオ体操
- ゆっくりとした散歩
深呼吸を意識する
呼吸は自律神経と密接に関係しています。
ゆっくり長い息を吐くことで副交感神経が働きます。
睡眠のリズムを整える💤
自律神経は睡眠と強く関連します。
- 朝日を浴びる
- 寝る時間を一定にする
だけでも効果があります。
ぬるめのお風呂に入る♨️
体が温まり、血流がよくなり、副交感神経が優位になります。
こんな症状があるときは医療機関へ
次の症状がある場合は、自己判断をせず専門家の診察を推奨します。
- 強い動悸や胸痛
- 失神やめまいが頻回
- 夜間睡眠が取れない
- 生活に支障が出ている
まとめ
- 自律神経は体を自動で調整するシステム
- 交感神経と副交感神経のバランスが重要
- 乱れると様々な症状が出る
- 生活習慣で整えることができる
まずは、今日できることから1つだけでも取り入れてみてください。
📚【参考文献】
- Heart Rhythm. 2019;16:1155–1163.
- European Journal of Preventive Cardiology. 2018;25:683–691.
- Lancet Psychiatry. 2016;3:173–182.
- 藤澤ら. 日本自律神経学会学術総会, 2022.

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