心不全を予防するには?再発を防ぐ7つの生活習慣【理学療法士が解説】          

心疾患・呼吸器疾患の予防
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 心不全は「再入院を繰り返す病気」とも言われており、予防するには「生活習慣の見直し」が最も重要とされています。

 入院中は医師や看護師が患者の体調管理を行いますが、退院後はそれらの体調管理を患者やその家族が行い、心不全の増悪予防に努めることが生活の質を向上させ寿命を伸ばすことにつながります。

 しかし、自宅での生活では注意することが多く

 「何から手を付けていいのか分からない」
 「やることが多すぎてやりきれない」

 などの声も患者やその家族からありました。

 この記事では、理学療法士の視点から心不全の発症と増悪予防に関する生活習慣をわかりやすく解説します。今日からできる工夫を、一緒に確認してみましょう。

この記事でわかること

 この記事では、心不全の発症と増悪を防ぐための7つの生活習慣についてまとめています。

  • 運動習慣
  • 生活習慣病
  • 減塩
  • 体重管理
  • ストレス
  • 飲酒
  • 喫煙

 それぞれの内容について、さらに詳しく知りたい方は各記事で詳しく解説していますので、気になるテーマから読み進めてみてください。

この記事について

▶︎日本循環器学会 / 日本心不全学会合同 2025 年改訂版 心不全診療ガイドライン
基づいて、理学療法士『ゆうゆう』が監修しています。

⚠️ 医療情報に関する注意
 本サイトは医療情報の整理と解説を目的としており、特定の治療や医療行為を推奨するものではありません。症状や治療についての最終的な判断は、必ず主治医や医療機関にご相談ください。


心不全発症や心不全増悪を繰り返すとどうなるか?

 心不全の経過には個人差がありますが、一度でも心不全を発症すると身体機能や生活の質に支障をきたすことが多いです。

 そして、心不全増悪を繰り返すたびに心臓にダメージが蓄積し、身体機能や生活の質が低下するとされています。

 生活習慣を整え、適切な体調管理をおこなうことは、心不全の発症や増悪への予防効果が高いとされているので、しっかり対策を身につけていきましょう。


心不全発症や心不全増悪を予防する7つの生活習慣

適切な運動について理解し、運動習慣を身につける

 心不全の予防・増悪防止には「適切な運動習慣」が非常に重要です。
 まずポイントを簡単に確認し、詳しい方法は以下の記事で解説しています。

リハビリの際によく聞かれることが

息が苦しいのに運動をしても大丈夫なの?

という質問を多くされます。

 ガイドラインでは、心不全患者に有酸素運動(ウォーキングなど)や低負荷での筋力訓練は推奨されています。

 詳細なオススメの運動や運動の頻度や強さ、反対に避けた方がいい運動は下記記事で紹介していますのでご確認ください。

注意

 病状に合わない運動や間違った運動をすることで心不全を増悪させる可能性もあるので注意が必要です。
 運動を始められる前に必ず主治医や医療機関にご相談ください。


高血圧・糖尿病などの生活習慣病を放置しない

 心不全の予防・増悪防止には「生活習慣病の管理」が非常に重要です。
 まずポイントを簡単に確認し、詳しい方法は以下の記事で解説しています。

 ガイドラインでは高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病を抱えている状態は「ステージA(心不全リスクがある段階)」と定義されています。

 まず心不全を発症させないための取り組みとして、健康診断などで生活習慣病を指摘されたら、放置せずに適切な治療を受けることが、将来的にとても重要になります。

 詳細な続けやすい生活習慣予防に関する取り組みは下記記事で紹介していますのでご確認ください。


減塩とバランスのよい食事を心がける

  心不全の予防・増悪防止には「減塩」が非常に重要です。
 まずポイントを簡単に確認し、詳しい方法は以下の記事で解説しています。

 ガイドラインでは、1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。

 心不全における減塩は、病気の「発症・進展の予防」発症後の「増悪の防止」という2つの非常に重要な役割があります。

 「そんなに減らすなんて無理…」と感じる方もいると思いますが、出汁・酢・香辛料を使えば味気なさを感じにくく、減塩が続けやすくなります。

 さらにタンパク質や野菜をバランスよく取り入れることで、筋肉量の維持や動脈硬化の予防にもつながります。

 具体的な続けやすい減塩への取り組みは、下記記事で紹介していますのでご確認ください。

注意

 塩分やタンパク質、野菜の1日の摂取量は病状や個人差があるので注意が必要です。
 必ず主治医や医療機関にご相談ください。


体重管理と肥満予防

  心不全の予防・増悪防止には「体重管理」が非常に重要です。
 まずポイントを簡単に確認し、詳しい方法は以下の記事で解説しています。

 「体重測定」は病状の悪化を早期に発見し、入院を未然に防ぐための「セルフケアの柱」です。

 心不全では自覚症状が出現する前に体内に水分が貯留することで急激な体重の増加が見られることがあります。

 そのため体重測定は心臓へのダメージを最小限に抑えるための重要な取り組みになります。

 体重に関することで「メタボリックシンドローム」にも注意が必要です。

 メタボリックシンドロームでは、慢性的に心臓の負担が増加するとされています。

 また高血圧症や糖尿病などの生活習慣病と組み合わさることで、心不全の発症するリスクを高めることから、メタボリックシンドロームは心不全の進展ステージにおいて、「ステージA(心不全リスクがある状態)」に位置づけられており、肥満を過小評価はできません。

 具体的な正確な体重測定方法や水分・体重管理方法については、下記記事で紹介していますのでご確認ください。

注意

 適正な体重は、個人差や病状によって異なります。
 取り組まれる前に必ず主治医や医療機関にご相談ください。


睡眠とストレス管理

  心不全の予防・増悪防止には「睡眠とストレス対策」が非常に重要です。
 まずポイントを簡単に確認し、詳しい方法は以下の記事で解説しています。

 睡眠も心不全と密接な関係性があることがわかっています。

 心不全患者の多くは睡眠に関する問題を抱えており、特に「睡眠呼吸障害」との合併が非常に多いのが特徴です。睡眠呼吸障害のある患者は心臓の負担が増加し、心不全の発症リスクを高めるとされています。

 また睡眠の質の低下は、塩分管理や服薬などのセルフケア行動に影響を与えるとされており、間接的に心不全増悪リスクを高めやすいと言えます。

 心理的・身体的ストレスは、既存の病状を急激に悪化させたりする要因となります。

 ストレスは自律神経との関わりが深く、過剰なストレスは交感神経が活性化した状態(=心理的、身体的な興奮状態)となりやすいです。

 交感神経が活性化した状態では、不整脈を誘発させたり、冠動脈疾患(心筋梗塞など)を発症させるリスクを高めるなど、将来的な心不全発症に大きく影響を与える可能性があります。

 具体的な睡眠の質を高める取り組みやストレスを軽減する取り組みについては、下記記事で紹介していますのでご確認ください。


飲酒は“適量”を意識して、心臓にやさしい習慣を

  心不全の予防・増悪防止には「適正な飲酒量を守る」が非常に重要です。
 まずポイントを簡単に確認し、詳しい方法は以下の記事で解説しています。

 心不全と飲酒の間には、摂取量や個々の病態によって予防的な側面と発症・悪化のリスクとなる側面の2つの側面があります。

 少量のアルコール摂取は、心不全の発症リスクを軽減するという報告があります。

 一方で過度・多量のアルコール摂取は心不全発症のリスクを高めるとされており、生活習慣病(高血圧や糖尿病など)をすでに発症している方は健康リスクを高める可能性があるとされています。

 そのため可能な限り飲酒機会を減らし、飲む場合も少量に留めることが推奨されています。

 心臓に負担をかけ過ぎないお酒との付き合い方は、下記記事で紹介していますのでご確認ください。 

関連記事:お酒との付き合い方について詳しく見る
注意

 適正な飲酒量は、個人差や病状によって異なります。
 個別の飲酒量は必ず主治医や医療機関にご相談ください。


禁煙は“最大の予防薬”になる

  心不全の予防・増悪防止には「禁煙」が非常に重要です。
 まずポイントを簡単に確認し、詳しい方法は以下の記事で解説しています。

 喫煙は心不全を発症させる強いリスク因子であり、禁煙は心不全の発症予防および悪化防止のために極めて重要な取り組みです。

 喫煙は心不全以外にもあるゆる心臓に関する病気を引き起こす可能性が高く、心不全の「予備群」とされるステージA(心不全リスクがある段階)に位置付けられ、厳格に管理すべきとされています。

 「今からやめても遅くない」 禁煙は最も強力な心不全の予防策の一つなのです。

 禁煙に関する取り組みや禁煙を続けるための対策は、下記記事で紹介していますのでご確認ください。 

関連記事:禁煙への取り組みについて詳しく見る

まとめ

 心不全は誰にでも起こりうる病気ですが、運動・生活習慣病・減塩・体重管理・ストレス・睡眠・飲酒・禁煙という7つの工夫で、心不全の発症を予防することや心不全増悪の可能性を高めることができます。

「小さな工夫を積み重ねること」が、未来の安心と健康寿命の延伸につながります。


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参考文献

  • 日本循環器学会・日本心不全学会.心不全治療ガイドライン(2025年改訂版).2025.
  • 厚生労働省.e-ヘルスネット(生活習慣病予防・健康づくり).https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp
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  • Piepoli MF, et al. Exercise and heart failure: from theory to practice. Eur J Heart Fail. 2011;13(4):347-357.
  • WHO. Guideline: Sodium intake for adults and children. Geneva: WHO; 2020.
  • Chiuve SE, et al. Diet and lifestyle and the risk of heart failure. JACC Heart Fail. 2017;5(5):375-382.
  • Walker WH, et al. Sleep and cardiovascular disease. Sleep. 2015;38(6):843-844.

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